特長
ドライリン送りねじは、各種スピンドル材とイグリデュール高機能ポリマー製ナットの組合せにより、完全に無潤滑でメンテナンスフリーで動作します。これは特に高粉塵・汚れの発生する場所(繊維、石材、木材加工機等)や、高い清浄性が求められる使用(包装または食品機械等)において、潤滑剤やメンテナンスを必要とする製品と比べて大きな利点があります。
ラジアル力
ドライリン ねじナットは、アキシアル方向の力を吸収するよう設計されています。使用中に発生するラジアル力は、追加リニアガイドで吸収する必要があります。
温度
イグリデュール材質を使用したドライリンねじナットは、基本的に温度領域–20°C ~+90°Cの使用に適応しています(材質により150°Cまで)。熱膨張によりすき間だけでなく最大許容荷重にも変化が出ることにご注意ください。とくに、高荷重下で非常に高温または低温での使用の場合、実際に近い条件で事前に試験することを推奨します。すべての温度での使用を可能にするため、様々なすき間設定のナットをご提供しています。
湿潤領域
湿潤環境での使用にはイグリデュールJまたはイグリデュールA180製ねじナットをご使用ください。湿度吸収が非常に低いという特長を備えています。
イグリデュールJ
イグリデュールA180
汚れ
イグリデュール製ナットにより、ドライリン 送りねじは完全無潤滑で走行します。潤滑剤を使用しないので、汚れや繊維等の軟質物が固着せず、従来の潤滑剤を必要とするねじと比べて、汚れの発生する環境下での寿命を大幅に向上させました。ただし、金属片や石材の切粉など粒子が硬い場合や激しい汚染が発生する環境下では、スピンドルにカバーが必要となります。
騒音
すべりねじでは、一般的に異音が発生しやすくなります。 とくに長いスピンドルで高速走行時、振動が発生する場合があります。 しかしトライボロジーを最適化したイグリデュール材質使用のねじナットは、すべり特性に優れるため、通常の樹脂あるいは金属(銅または真鍮)製に比べ騒音が大きく軽減されました。お使いのすべりねじで騒音が発生している場合には、当社までお問合せください。
送りねじの試験
ドライリン送りねじはDIN103規格(JIS B 0216)で製造しています。検査は、製造後に規格ピンゲージを使用して行っています。表にないねじ寸法は、DIN103で相当する寸法に変換します。選択時には、吸湿および温度特性に注意する必要があります。使用現場において、温度あるいは湿度による寸法変化が起きる場合があります。したがって、通常のDIN規格は適用されません。
すきま
すべりねじは基本的にすき間が必要です。仕上げ公差によって発生する送りねじのすき間とは別に、使用条件によるパラメータに留意する必要があります。使用時に守らなければならない最低すき間は、温度および吸湿等の周辺環境に加えて、使用により発生する熱の影響も考慮しなければなりません。そのため、精密駆動にすべりねじを使用する場合、事前の使用試験を行わずに使うことはお勧めしません。予測しないすき間の発生の防止には、予圧が効果的です。標準品以外の解決法については、お問合せ下さい。
効率
効率とは、加えた力と出力との比率を示します。ドライリン ねじナットは摩擦係数が低く、そのため高い効率が得られます。一条の台形ねじナットは無潤滑走行において、効率20~48%です。 多条ねじナットでは同じく無潤滑走行において、効率50~80%が得られます。 ドライリン ねじナットは完全な無潤滑走行を前提に設計されていますが、潤滑剤を使用すると効率をさらに引上げることが可能です。
セルフロック機能
台形送りねじ(一条、二条) はセルフロック機能があります。リード角と摩擦のため、ナットやスピンドルは外部からの力なしでは動きませんが、静止摩擦力を超えると、セルフロックが利かなくなります。多条ねじ(ドライスピン、スタンダード) にはセルフロック機能はありません。
アンチバックラッシねじナット
「バックラッシ」は、送りねじ内でアキシアル方向のすき間によって発生します。ばねとエラストマーでラジアル方向に予圧を与え、振動あるいは自然に発生する振幅を(これがとくにスピンドルが長いあるいは回転数が大きい場合の騒音の原因となります)軽減することが出来ます。
ゼロバックラッシねじナット
多条ねじは低荷重の素早い調節に使用されます。ゼロバックラッシは、製品寿命の全期間にわたってバックラッシを発生させず、精密機械や医療機械、研究用設備や印刷機械で最適です。高荷重や汚れ環境、極度に外的影響が大きい場合には、ゼロバックラッシではない多条ねじまたは台形ねじナットを使用します。