粉体塗装をしたい!メリット、注意点などを解説

粉体塗装とは

粉体塗装は焼付塗装の一種

粉体塗装の工程

行程内容
前処理脱脂、洗浄、化成処理、ブラストなどで表面を整える
乾燥水分を除去し、塗料の密着不良を防ぐ
粉体塗料の塗布静電気や熱を利用して粉体塗料を付着させる
焼付・硬化加熱して塗料を溶融・硬化させる
冷却塗膜を安定させる
検査外観、膜厚、密着性、色、仕上がりを確認する

粉体塗装が増えてきた理由

  • 脱・有機溶剤(VOC対策)の法規制
    従来の液体塗装は、薄めるためにシンナーなどの「有機溶剤(VOC)」を大量に使います。これが大気汚染やシックハウス、作業員の健康被害の原因になります。2006年4月に改正大気汚染防止法が施行され、VOCの排出規制が本格的にスタートしました。一定規模以上の吹き付け塗装施設や乾燥施設に厳しい排出基準と濃度測定・記録が義務付けられ、これが業務用を中心に溶剤塗装からの転換を促しました。
  • 粉体塗装の進歩
    粉体塗装は「100%固体の粉」を静電気で付着させるため、溶剤を一切使いません。この環境に優しい(サステナブル)という特徴から、欧米の自動車や家電のラインで採用が進みました。さらに低温硬化性の向上、粒径コントロール技術の進歩により塗料が使える機会が広がりました。
  • 職人技が不要(自動化しやすい)
    日本は長年、液体塗装の「薄く美しい仕上がり」を好んでいましたが、均一に塗るには長年の「職人技」が必要でした。一方、粉体塗装は静電気の力で粉が勝手に均一に吸着するため、経験の浅い作業員や産業用ロボットでも安定した高品質な塗装が可能です。
  • 工程の短縮(1コートで厚膜)
    液体塗装でサビに強く頑丈にするには、「下塗り・中塗り・上塗り」と何度も塗って乾かす必要があります。粉体塗装なら、1回塗るだけで頑丈な厚い膜ができるため、時間も人件費も大幅に削減できます。
  • 塗料の回収・再利用が可能
    液体塗装は空気中に飛び散った分の塗料はすべてゴミになりますが、粉体塗装は落ちた粉を集めてほぼ100%リサイクル(再利用)できるため、材料費に無駄がありません。

粉体塗装のメリット

  • 環境負荷が低い
    粉体塗装は、一般的な液体塗装で使われる有機溶剤を基本的に使用しません。そのためVOCの排出を抑えられます。
  • 耐久性・耐食性が高い
    粉体塗装は一度の塗装で厚い塗膜を作れます。これは特に耐久性や耐食性を高めたい金属部品に向いています。屋外設備、建築部材、筐体、フレーム、ガードレールなど、長期間の使用が想定される部品で使われます。
  • 塗装の無駄がない
    静電粉体塗装では、対象物に付着しなかった粉体塗料を回収し再利用できる場合があります。塗料ロスを減らせるため、製造現場では経済性の面でもメリットがあります。
  • 自動化と品質安定が容易
    粉体塗装は膜厚や焼付条件を管理することで、一定品質の塗膜を得られます。このため量産部品の塗装品質を安定させられ、自動塗装ラインなどに採用されやすいのです。

粉体塗装が向いている用途

  • 金属筐体・フレーム
    制御盤、装置カバー、機械フレーム、ラックなど、金属部品の外観と耐久性を両立できます
  • 屋外設備・建材
    屋外で使う部材では、耐候性や耐食性が重要です。建材、フェンス、手すり、屋外設備部品などでは、使用環境に合った粉体塗料と前処理を選ぶことで、長期使用に対応できます
  • 自動車・重機部品
    塗膜強度、耐久性、防錆性が求められる用途ですが、粉体塗装は厚膜を形成しやすく、量産ラインにも適用しやすくなっています
  • 家具・ラック・レールなど
    日常的に接触したり、屋外の環境にさらされる場合にも、美観と塗膜強度の両方が重要になるため、適しています

塗装の目的

保護

  • サビ防止(防錆)
    鉄などの金属が空気中の酸素や水分に触れるのを防ぎます。
  • 腐食・劣化防止
    紫外線、雨、風、薬品、塩害などによる素材の風化を防ぎます。
  • 防水・防湿
    木材やコンクリートなどに水が染み込むのを防ぎ、腐敗やひび割れを抑えます。

美観

  • 色彩と光沢
    好みの色(カラーリング)や、ツヤ(光沢・マット)を出します。
  • 質感の向上
    高級感を出したり、素材のキズや凹凸を隠してなめらかに見せたりします。
  • 識別・安全
    非常口の赤、道路の白線など、視覚的なインフォメーションとしての役割を持たせます。

機能の付与

  • 非粘着(離型)
    物がくっつきにくく、汚れを落としやすくします(フライパンのテフロン加工など)。
  • 遮熱・断熱
    太陽光を跳ね返し、室内の温度上昇を抑えます。
  • 抗菌・抗ウイルス・防カビ
    衛生的な状態を保ちます。
  • 低摩擦(潤滑・減摩)
    すべりを良くし、部品の摩耗や焼き付きを防ぎます。

可動部・摺動部の摩擦低減にはコーティングも

金属面の摩耗・摩擦を抑えるイグリデュール コーティング

パウダーコーティングで金属表面に塗布できる

テフロンコートとの違い

トライボコーティングが向いている用途

  • 金属面が擦れて摩耗する
    摺動面を耐摩耗性のあるポリマー層で保護できる
  • 潤滑剤を使いにくい
    固体潤滑剤を含む材質により、追加潤滑なしで使える選択肢になる
  • 軸受やライナーを追加するスペースがない
    金属部品そのものの表面にコーティングできる
  • 摩擦係数を下げたい
    摺動向けに最適化された材料で摩擦低減を狙える
  • 食品包装装置で金属表面を守りたい
    食品接触時の安全性を重視したコーティング材も選択肢になる

トライボコーティングが特に効果を発揮するシーン

  • 金属面がこすれて摩耗する場合
    金属同士が接触する箇所では、摩耗、焼付き、異音、動作不良が発生することがあります。
    トライボコーティングを金属面に施すことで、摺動面をポリマー層で保護し、摩耗の低減を狙えます。
  • 潤滑剤を使いにくい場合
    食品包装装置、粉じん環境、メンテナンスしにくい箇所などでは、油やグリースを使いにくい場合があります。
    このような用途では、固体潤滑剤を含むトライボコーティングにより、追加潤滑なしで使える表面を作る選択肢になります。
  • 軸受やライナーを追加するスペースがない場合
    装置内のスペースが限られている場合、軸受やライナーを追加できないことがあります。
    トライボコーティングであれば、既存の金属部品の表面に直接コーティングできるため、部品形状を大きく変えずに摩耗対策や摩擦低減を検討できます。


粉体塗装の注意点

  • 薄膜塗装への対応
    粉体塗装は厚膜を得意とする一方で、極薄膜を均一に形成する用途には向きにくい場合があります。粉体の粒子サイズや静電気的な特性により、一般的には30μm以下のような薄膜を均一に仕上げるのは難しいされています。寸法精度が厳しい部品、嵌合部、ねじ部、摺動面などでは、膜厚による寸法変化に注意が必要です。
  • 色替え
    塗装ブース、ガン、供給系の清掃が必要で、清掃が不十分だと、他色の粉体が混入するコンタミの原因になります。頻繁な色替えや小ロット多品種では、段取り時間や清掃工数が増え、コストメリットが出にくい場合があります。
  • 素材の高温対応
    対象物には焼付炉での加熱への耐性が必要です。樹脂やゴムなど熱に弱い部品では、変形や劣化の可能性があります。

粉体塗装はDIYでできる?

粉体塗装を依頼するときの確認項目

材質・寸法・数量

屋内/屋外、耐候性、耐食性

色、膜厚、仕上がり

マスキング範囲・ねじ穴・接触面

図面・サンプル・検査条件

FAQ

まとめ

摺動部に適したトライボコーティングを相談する