イグリデュールQ - 材質データ

図02: 最大推奨面圧 - 温度による変化 (100 MPa 、+20 °C)

X = 温度 [°C]
Y = 荷重 [MPa]

図03: 変形 - 　荷重と温度

X = 荷重 [MPa]
Y = 変形 [%]

機械的特性

最大推奨面圧は、材質の機械的特性を示します。 したがって、摩擦特性への言及はできません。 温度上昇と共に、イグリデュールQ製すべり軸受の圧縮強度は低下します。 図02は、この関係を明確にしました。

イグリデュールQは、高加重によってPV値が高くなる場合に適した材質です。 図03は、ラジアル荷重下でのイグリデュールQの弾性変形です。 最大推奨面圧100MPaで、室温での変形率は3%未満です。

最大滑り速度

m/s	回転	揺動	直線
連続	1	0,7	5
短時間	2	1,4	6

表02: 最大スライド速度

許容滑り速度

ラジアル荷重が非常に高い場合、イグリデュールQすべり軸受の最大PV値に達する場合があります。 これは、すべり軸受の無潤滑運転で発生します。イグリデュールQすべり軸受は、高荷重下の低速運転の場合に最大の使用に適する場合を発揮しますが、摩擦係数が優れているため、表面速度の速さにも対応します。表02の値は、摩擦の結果として、温度が最高許容温度まで上昇した時の速度を示しています。

温度限界

イグリデュール Q	使用温度
下限	- 40 °C
上限、長期	+ 135 °C
上限、短期	+ 155 °C
アキシアル追加保護が必要になる温度（これを超えた場合）	+ 50 °C

表03: 温度限界 - イグリデュールQ

温度

高温環境でも優れた耐摩耗性を有します。 50℃以上の高温環境では、ベアリングの抜け止めを有する必要があります。また、+100℃前後からの温度上昇によって摩擦係数が急速に増加することに注意してください。

図04: 摩擦係数とスピード、 p = 0,75 MPa

X = スライド速度 [m/s]
Y = 摩擦係数μ

摩擦と磨耗

無潤滑運転のスライドベアリングは多くの場合、荷重が上昇すると摩擦係数は低下します。 ほとんどの無潤滑運転の樹脂製軸受では面圧が増加するにつれて摩擦係数が低下しますが、中でもイグリデュールQは高い面圧下で極めて低い値を示します。（図04と05）

イグリデュール Q	無潤滑	グリス	油脂	水
摩擦係数　µ	0,05 - 0,15	0,09	0,04	0,04

表04: 摩擦係数 － イグリデュールQ 対スチール鋼
(Ra = 1 µm, 50 HRC)

図06: 磨耗、さまざまな軸材質を使用、回転（ p = 30 MPa, v = 0,01 m/s）
 
X = 軸材質
Y = 磨耗 [μm/km]
 
A = S45C
B = SM490
C = SM490窒化処理
D = SM490軟窒化処理
E = SM490亜鉛めっき
F = ニッケルクロム銅
G = SCM440硬質クロムめっき
H = 38MnV S6硬質クロムめっき（非調質銅）

軸材質

図06は、さまざまな軸材質でイグリデュールQを使用して行った実験の抜粋です。 荷重向けのイグリデュール材質の強みは30MPa以上で明らかになります。 イグリデュールQはその特性が特に際立っています。 イグリデュールQやTX1などの他のイグリデュール材質は、さらに高い荷重がかかる時に最も優れた摩耗特性を示します。 イグリデュールQは多くの異なる軸材質との組み合わせで非常に高い摩耗特性を示しています。

媒体	耐性
アルコール	＋ ～ 0
炭化水素	+
グリス、油脂、無添加	+
燃料	+
希釈酸	0 ～ －
強酸	-
希釈アルカリ	+
強アルカリ	0

+ 耐性あり      0 制限付きで耐性あり      - 耐性なし
すべての記載値は室温時 [+20 °C]
表05：イグリデュールQの耐薬品性

電気的特性

比容積抵抗	> 1015 Ωcm
表面抵抗	> 1012 Ω

耐薬品性

イグリデュールQ製スライドベアリングは、優れた薬品耐性を備えています。 有機溶剤、燃料、油脂およびグリスに対し、この材質は抜群の耐性を持ちます。 また、弱アルカリと弱酸に対する耐性を一部、備えます。

放射線

イグリデュールQ製スライドベアリングには照射耐性が、照射強度3 x 10² Gyまであります。

耐紫外線性

イグリデュールQ製スライドベアリングの磨耗特性は、気象条件の影響下でも変わることなく一定です。 ただ、わずかながら材質の脆さにつながる場合もあります。

真空

真空での使用では、吸収した湿度によってガスが発生します。 したがって、イグリデュールQ製スライドベアリングは真空においては、乾いた状態でのみ使用可能です。

電気的特性

イグリデュールQ製スライドベアリングは電気的に絶縁です。

最大吸湿率
+23 °C/50 %時の相対湿度	0,9 水-%
最大吸水率	4,9 水-%

表06:イグリデュールQの吸湿率

図10：吸湿率
 
X = 湿度吸収 [重量%]
Y = 内径Øの縮小 [%]

吸湿率

イグリデュールQ製スライドベアリングの湿度吸収率は、標準大気で0.9%です。 水中での飽和限界はおよそ4,9 %。 これは対応する使用条件により、留意する必要があります。

径 d 1 [mm]	軸 h 9 [mm]	iglidur® Q E10 [mm]	ハウジング H7 [mm]
3まで	0 - 0,025	+0,014 +0,054	0 +0,010
> 3 bis 6	0 - 0,030	+0,020 +0,068	0 +0,012
> 6 bis 10	0 - 0,036	+0,025 +0,083	0 +0,015
> 10 bis 18	0 - 0,043	+0,032 +0,102	0 +0,018
> 18 bis 30	0 - 0,052	+0,040 +0,124	0 +0,021
> 30 bis 50	0 - 0,062	+0,050 +0,150	0 +0,025
> 50 ～80	0 - 0,074	+0,060 +0,180	0 +0,030
> 80 ～120	0 - 0,087	+0,072 +0,212	0 +0,035
> 120 ～180	0 - 0,100	+0,085 +0,245	0 +0,040

表07: 主要公差 - イグリデュールQ製スライドベアリング 、ISO 3547-1基準、圧入後

組込み公差

イグリデュールQ製すべり軸受は、h公差の軸への標準品です (最低 h9を推奨)。
 
ベアリングは H7公差で圧入するよう設計されています。 受け穴への公称寸法での組込み後、ベアリング内径はE10公差に自動的に調整されます。 特定の寸法については、公差は肉厚によって異なります（製品概要表をご覧下さい）。