イグリデュールF2 - 材質データ

図02: 最大推奨面圧 - 温度による変化 (47 MPa 、+20 °C)
 
X = 温度 [°C]
Y = 荷重 [MPa]

図03: 変形 - 　荷重と温度
 
X = 荷重 [MPa]
Y = 変形 [%]

機械的特性

イグリデュールF2 すべり軸受の圧縮強度は、温度の上昇に伴い低下します。 図02はこの関係を明らかにします。長期許容使用温度+120 °C では、許容面圧はほぼ20 Mpaです。 最大推奨面圧は、材質の機械的特性を示します。 したがって、摩擦特性への言及はできません。
 
図03はラジアル荷重をかけた時のイグリデュールF2の弾性寸法変化率です。 最大推奨面圧47 Mpaでは、変形率は2,6 %未満です。 塑性変形は、この荷重を加えてもほとんど発生しません。 この結果は、作用時間によって異なります。

最大滑り速度

m/s	回転	揺動	直動
連続	0,8	0,7	3
短時間	1,4	1,1	5

表02: 最大スライド速度

許容滑り速度

最大許容滑り速度は、運転時間と動きの種類に応じて異なります。 ベアリングに最大の負荷がかかるのは、長時間の連続回転運動です。 イグリデュールF2 すべり軸受の最高速度は0.8 m/sです。 表02の値は、相互作用により、実際には必ずしも達成されるとは限りません。

イグリデュールF2	使用温度
下	- 40 °C
最高、長期	+ 120 °C
最高、短期	+ 165 °C
抜け止めが必要な温度（これを超えた場合）	+ 70 °C

表03：イグリデュールF2の使用温度範囲

温度

周囲温度は、軸受の特性に大きな影響を与えます。イグリデュールF2軸受の圧縮強さは、温度が上昇するにつれて低下します 。図02にこの関係を示します。+70℃以上の高温環境では、ベアリングの抜け止めをする必要があります。

図04: 摩擦係数とスピード、 p = 0,75 MPa
 
X = スライド速度 [m/s]
Y = 摩擦係数μ

図05: 摩擦係数と荷重、 v = 0.01 m/s
 
X = 荷重 [MPa]
Y = 摩擦係数μ

摩擦と磨耗

摩擦係数は、耐摩耗性と同様に荷重によって変ります（図04、05）。

イグリデュールF2	無潤滑	グリス	油脂	水
摩擦係数　µ	0,16 - 0,22	0,1	0,05	0,03

表04：イグリデュールF2のスチールに対する摩擦係数（Ra = 1 μm、50 HRC）

図06: 磨耗の変化 - さまざまな軸材質との組合わせ(p = 1 MPa, v = 0,3 m/s)
 
X = 軸材質
Y = 磨耗 [μm/km]
 
A = アルミ、硬質アルマイト処理
B = 快削鋼
C = S50C
D = S50C、クロム硬化
E = STKM12A
F = SUS304
G = SUS440B

軸材質

図06は、イグリデュールF2すべり軸受をさまざまな材質の軸で試験した結果です。 イグリデュールF2は回転運動時に快削鋼、硬質アルマイト処理アルミニウム、S50C硬質クロムめっき軸との組み合わせが適していることが分かります。 図07では全ての荷重範囲で揺動時より回転時の方が摩耗が少ないことが示されています。

媒体	耐性
アルコール	+
炭化水素	-
グリス、油脂、無添加	+
燃料	+
希釈酸	0
強酸	-
希釈アルカリ	-
強アルカリ	-

+ 耐性あり      0 制限付きで耐性あり      - 耐性無し
すべての記載値は室温時 [+20 °C]
表05： イグリデュールF2の耐薬品性

電気的特性

比容積抵抗	< 109 Ωcm
表面抵抗	< 109 Ω

耐薬品性

イグリデュールF2 すべり軸受は、薬品に対する優れた耐性があります。 また、潤滑材に対しても、ほとんど全てに対して耐性を持ちます。 イグリデュールF2は、ほとんどの有機・無機希酸の影響を受けません。

放射線

イグリデュールF2 すべり軸受は、強度 3 x 10² Gy までの放射線に対する耐性があります。
 

耐紫外線性

イグリデュールF2 すべり軸受は、比較的良好な紫外線耐性があります。
 

真空

真空での使用では、吸収した湿度によってガスが発生します。 このため脱湿したイグリデュールイグリデュールF2のみが、真空環境に適しています。
 

電気的特性

イグリデュールF2 すべり軸受は導電性があります。

最大吸湿率
+23 °C/50 %時の相対湿度	0,2 水-%
最大吸水率	0,4 水-%

表06：イグリデュールF2 の吸湿率

図9：吸湿率
 
X = 湿度吸収 [重量%]
Y = 内径Øの縮小 [%]

吸湿率

イグリデュールF2 すべり軸受の吸湿率は、標準大気下で約0.2％です。 飽和限界は0.4%です。条件によっては、これを考慮する必要があります。

径 d1 [mm]	軸 h9 [mm]	イグリデュールF2 D11 [mm]	ハウジングH7 [mm]
3まで	0 - 0,025	+0,014 +0,054	0 +0,010
> 3 bis 6	0 - 0,030	+0,020 +0,068	0 +0,012
> 6 bis 10	0 - 0,036	+0,025 +0,083	0 +0,015
> 10 bis 18	0 - 0,043	+0,032 +0,102	0 +0,018
> 18 bis 30	0 - 0,052	+0,040 +0,124	0 +0,021
> 30 ～50	0 - 0,062	+0,050 +0,150	0 +0,025
> 50 bis 80	0 - 0,074	+0,060 +0,180	0 +0,030
> 80 bis 120	0 - 0,087	+0,072 +0,212	0 +0,035
> 120 bis 180	0 - 0,100	+0,085 +0,245	0 +0,040

表07：イグリデュールF2 すべり軸受の圧入後の公差（ISO 3547-1による）

組込み公差

イグリデュールF2 すべり軸受は、公差hで設計した軸（最小でも h9を推奨）に対応する標準軸受です。 ベアリングは H7公差で圧入するよう設計されています。 公称寸法での組込み後、軸受内径は公差E10に自動的に調整されます。 特定の寸法については、公差は肉厚によって異なります（製品概要表をご覧下さい）。