イグリデュールA290 - 材質データ

図02: 最大推奨面圧 - 温度による変化 (70 MPa 、+20 °C)

X = 温度 [°C]
Y = 荷重 [MPa]

図03 : 荷重、温度条件による変形

X = 荷重 [MPa]
Y = 変形 [%]

機械的特性

最大推奨面圧は、材質の機械的特性を示します。 したがって、摩擦特性への言及はできません。 温度が上昇すると、イグリデュールA290製スライドベアリングの圧縮強度は低下します。 図2は、この関係を明確にしました。
 
この荷重下で、室温での変形はわずか2.5%です。 塑性変形は、この荷重までの負荷を加えてもほとんど発生しません。 この結果は、作用時間によって異なります。 図03は、ラジアル荷重下での、イグリデュールA290の弾性変形です。

m/s	回転	揺動	直線
連続	1	0,7	3
短時間	2	1,4	4

表02: 最大スライド速度

許容滑り速度

イグリデュールA290は、低速スライド走行に適しています。 とくに、低荷重領域で比較的高い摩擦が起きることにより、イグリデュールＡ290のスライドベアリングは他イグリデュール製品に比べて、発熱しやすい傾向があります。 高速になると、摩擦はさらに増加します。

イグリデュール A290	使用温度
下限	- 40 °C
上限、長期	+ 140 °C
上限、短期	+ 180 °C
アキシアル追加保護が必要になる温度（これを超えた場合）	+110 °C

表03: 温度限界 - イグリデュールA290

温度

温度が上昇すると、イグリデュールA290製スライドベアリングの圧縮強度は低下します。 図02では、その関係を明確にしました。ベアリング内の熱も、ベアリング磨耗に影響を与えます。 温度の上昇と供に摩耗が増加します。その度合いは120℃から顕著になります。 ＋110℃以上では追加の固定方法が推奨されます。

図04: 摩擦係数とスピード、 p = 0,75 MPa

X = スライド速度 [m/s]
Y = 摩擦係数μ

図05: 摩擦係数と荷重、 v = 0,01 m/s

X = 荷重 [MPa]
Y = 摩擦係数μ

摩擦と磨耗

摩擦係数は、耐摩耗性と同様に、荷重や速度が増加すると変化します（図04、05）。

イグリデュール A290	無潤滑	グリス	油脂	水
摩擦係数　µ	0,13 - 0,40	0,09	0,04	0,04

表04: 摩擦係数 - イグリデュールA290対スチール鋼製軸(Ra = 1 μm, 50 HRC)

図06: 磨耗、さまざまな軸材質を使用、回転（ p = 1 MPa, v = 0,3 m/s）
 
X = 軸材質
Y = 磨耗 [μm/km]
 
A = アルミ、硬質アルマイト処理
B = 快削鋼
C = S50C
D = S50C、クロム硬化
E = STKM12A
F = SUS304
G = SUS440B

軸材質

図06と07は、様々な軸材質とイグリデュールA290軸受の試 験結果を示しています。 イグリデュールA290の摩擦特性がイグリデュールA200より改善されていることが、耐磨耗性においてもわかります。 低荷重においては、イグリデュールA290をさまざまな軸材質と組合せた場合、耐摩耗性が大幅に変化します。

媒体	耐性
アルコール	＋ ～ 0
炭化水素	+
グリス、油脂、無添加	+
燃料	+
希釈酸	0 ～ －
強酸	-
希釈アルカリ	+
強アルカリ	＋ ～ 0

+ 耐性あり      0 制限付きで耐性あり      - 耐性なし
すべての記載値は室温時 [+20 °C]
表05：イグリデュールA290の耐薬品性

電気的特性

比容積抵抗	> 1011 Ωcm
表面抵抗	> 1011 Ω

耐薬品性

イグリデュールA290製すべり軸受は、優れた薬品耐性を備えています。 また、潤滑材に対しても、ほとんど全てに対して耐性を持ちます。 ほとんど全ての有機・無機弱酸類に対してイグリデュールA290は耐性を持ち、その侵食を受けることがありません。
 

放射線

イグリデュールA290製スライドベアリングは、放射線強度3 x 10² Gyまでの耐性があります。

耐紫外線性

イグリデュールA290製スライドベアリングは紫外線耐性を持ちますが、摩擦特性が下がる場合があります。

真空

真空では、イグリデュールA290製スライドベアリングは、湿度吸収率が高いため、制限付でのみ使用可能です。

電気的特性

イグリデュールA290製スライドベアリングは電気的に絶縁です。

最大吸湿率
+23 °C/50 %時の相対湿度	1,7 水-%
最大吸水率	7,3 水-%

表06: 湿度吸収 - イグリデュールA290

図10：吸湿率
 
X = 湿度吸収 [重量%]
Y = 内径Øの縮小 [%]

吸湿率

イグリデュールA290製スライドベアリングの湿度吸収は、標準大気でおよそ1,7%です。 水中の飽和限界は7.3%あります。湿潤領域で使用する場合には、これに注意する必要があります。

径 d 1 [mm]	軸 h 9 [mm]	iglidur® A290 D11 [mm]	ハウジング H7 [mm]
3まで	0 - 0,025	+0,020 +0,080	0 +0,010
> 3 bis 6	0 - 0,030	+0,030 +0,105	0 +0,012
> 6 bis 10	0 - 0,036	+0,040 +0,130	0 +0,015
> 10 bis 18	0 - 0,043	+0,050 +0,160	0 +0,018
> 18 bis 30	0 - 0,052	+0,065 +0,195	0 +0,021
> 30 ～50	0 - 0,062	+0,080 +0,240	0 +0,025
> 50 bis 80	0 - 0,074	+0,100 +0,290	0 +0,030

表07: 主要公差 - イグリデュールA290製スライドベアリング、ISO 3547-1基準、圧入後

組込み公差

イグリデュールA290製スライドベアリングは、公差hで設計した軸（最小でもh9を推奨）に対応する標準ベアリングです。 ベアリングは H7公差で圧入するよう設計されています。 公称寸法で受け穴H7に組込み後、ベアリング内径はD11公差に自然に調整されます。