列車洗浄装置：寿命予測計算システム

ルクセンブルク国鉄 (CFL) の列車洗浄場は、ヨーロッパの中でも、最も近代化が進んでいる場所です。ここでは、全長200mの洗浄ホールで、ローカル列車・長距離列車を毎日清掃しており、非常に洗練されたシステムが使用されています。
大ホールで長さが異なる列車を効率的に洗浄するため、全長200メートルのホールを66メートルごとのセクションに区切って、洗浄トロリーを設置しています。列車の両サイドに、洗浄トロリーが4つ配置されており、66メートルのセクションを走行して、全長を洗浄できるようになっています。
このプロセスで核となるのは、洗浄トロリーを走行させるエナジーチェーンです。このエナジーチェーンで、エネルギー、データ、圧縮空気、水、洗浄剤が流れる多数のホースとケーブルを安全にガイドしています。
このシステムは、高湿潤環境、化学洗浄剤を使用する環境でも、確実に機能しなければなりません。
こうした高負荷の環境により、以前使用していた他社製のケーブル保護管は、動作が部分的だったり、停止したりと、走行が度々中断していました。これは、非常に大きな問題でした。洗浄システムは、自律的に運営されているため、エナジーチェーンが故障すると、洗浄工程全体が停止してしまいます。必要な修復作業には時間がかかり、夜間や週末に行うこともありました。エナジーチェーンが故障して、鉄道車両が洗浄エリアで動かなくなってしまうと、列車の運行を中止しなければならなくなります。

鉄道会社CFLは、確実に動作するだけでなく、予想外の故障を防ぐエネルギー供給システムも必要だということに気づきました。
同社が求めるソリューションは、インテリジェントなセンサーが付いた状態監視と寿命予測システムが備わった長距離走行向けのプラスチック製エナジーチェーンにありました。
この状態監視システム (i.Sense EC.P)は、プッシュプル力を測定して、エナジーチェーンを継続的に監視します。例えば、チェーンがガイドチャンネルからはずれたり、浮き上がったりすると、システムがこれを記録して動作を停止し、全体が損傷して高コストな修理代が発生することを回避してくれます。
さらに、寿命予測システム (i.Cee)にはセンサーも装備されていました。同センサーは、温度、走行速度、走行距離などの状態監視データに基づいて、システムの製品寿命を予測し、保守・点検の推奨時期を知らせてくれます。
i.Sense EC.P と i.Ceeを組み合わせたことにより、システム全体が損傷することを回避し、故障が発生する可能性を予測して、それをどう回避すればいいのかが正確に分かるようになりました。予期せぬ故障は、もはや過去のものとなりました。