屋内クレーン向け省スペース型エナジーチェーン

• 課題・ニーズ： 台車（トロリー）への給電にあたり、極めて省スペースなエネルギー供給ソリューションが必要
• 採用製品： オートグライド5 エナジーチェーン
• 用途分野： クレーン
• 導入効果： オートグライド5はガイドトラフを必要とせず、省スペースなスチールケーブルガイドで設置可能。
  　エナジーチェーン内に多くのケーブルを収納しながらも、走行するトロリーとの安全距離をしっかりと確保し、顧客満足度の高い結果となりました。

BANG社がイグスに最初に依頼したエナジーチェーンは、「ごく普通の」タイプのものでした。
BANG社の技術者たちは、ZSB Zwickauer Sonderstahlbau GmbH向けに、鋼板搬送用の2台の同一クレーンを計画しており、それぞれ22.5mの橋梁に12.5tのホイストを備え、ドイツのメーカーから供給されるコンポーネントキット（駆動装置、ワイヤーロープ、エネルギー供給装置）を搭載する予定でした。

しかし、このうち1台のクレーンでは、標準パッケージに含まれるエネルギー供給システムが使用できないという課題が発生しました。
というのも、このクレーンでは、必要に応じてフックの代わりに電磁石を使用することがあり、荷役アタッチメントまでより強力な電力供給が必要となるため、より大型のエナジーチェーンが求められたのです。

実際、トロリーの主電源だけでも、断面積4平方ミリメートルのケーブル5本が必要でした。
その一方で、新たな問題も発生しました。それはスペースの制限です。上部レールにおいて、可動トロリーとの安全距離を確保し、挟み込みの危険がある構造を避けなければなりませんでした。

まさにこの課題について、BANG社からイグスに相談が寄せられました。
その際、イグスのクレーン業界担当マネージャーがBANG社と話をし、新製品「オートグライド5」エナジーチェーンの存在を紹介しました。

それからわずか2日後、BANG社は依頼内容を変更し、こう連絡してきました：
「オートグライド5の見積もりをお願いします。少しでも多くのスペースを確保したいのです。」

オートグライド5 エナジーチェーンは、まさにこのような用途のために開発されました。
可能な限り省スペース化を図るため、通常必要とされるガイドトラフの代わりに、下部構造に張ったスチールケーブルを使用します。
このケーブルはチェーンに取り付けられたガイドエレメントに噛み合い、チェーンを確実に誘導します。

オートグライド5は、最大80メートルの走行距離を持つ屋内クレーンや保管・リトリーバル機構向けに開発された製品です。
このシステムを使うことで、設置スペース・施工時間・コストを削減できるため、BANG社だけでなく、低摩耗でバスバーシステムに代わるソリューションを求めていたユーザーの間でも高い関心を集めました。

ただし、今回のプロジェクトでオートグライド5を使用するためには、特別な対応が必要でした。
通常、オートグライド5は固定端仕様で使用されますが、今回は2台のトロリーが別々に移動し、それぞれに電力と信号を供給する必要があったため、2本のチェーンを逆向きに配置し、共通のガイド内で走行させる構成が求められました。

この小さな課題は、イグスが製造した3Dプリント製の特別な固定端ブラケットにより解決されました。これが「ツイン・オポージング（双方向配置）」仕様としては初のオートグライド5の事例となりました。

現在、この2台のクレーンはZSB Zwickauer Sonderstahlbau GmbHの新社屋に設置されており、顧客も非常に満足しています。
プロジェクトマネジメントおよび営業部ディレクターのペーター・クネーゼル氏はこう語ります：

「クレーンにもプロジェクトの進行にもとても満足しています。トラフ不要の新しいエナジーチェーンも、その価値をしっかりと発揮しています。」