イグリデュールUW160 - 材質データ

図02: 最大推奨面圧 - 温度による変化 (15 MPa 、+20 °C)
 
X = 温度 [°C]
Y = 荷重 [MPa]

図03: 変形 - 　荷重と温度
 
X = 荷重 [MPa]
Y = 変形 [%]

機械的特性

温度上昇と共に、イグリデュールUW160製すべり軸受の圧縮強度は低下します。 図02では推奨最大許容面圧と機械的特性のの関係を表します したがって、摩擦特性への言及はできません。
 
図03は、ラジアル荷重をかけた時のイグリデュールUW160の 弾性寸法変化率です。

m/s	回転	揺動	直動
連続	0,3	0,3	1
短時間	0,5	0,4	2,5

表02: 最大スライド速度

許容滑り速度

最高表面速度は、発生する摩擦熱に応じて変化します。 許容される温度上昇は、摩耗と寸法安定性に関して軸受の継続的な使用が確実となる値に抑える必要があります。表02に記載された最大値は無潤滑の場合のものです。 液体と常に接触する環境下での使用は、組込状態に応じて、発熱の低減により大幅な高速化が可能なことがあります。

イグリデュールUW160	使用温度
下	- 50 °C
最高、長期	+ 90 °C
最高、短期	+ 100 °C
抜け止めが必要な温度（これを超えた場合）	+ 70 °C

表03：温度限界

温度

イグリデュールUW160は中程度の温度、液体中での使用を前提に開発されました。 他の熱可塑性樹脂と同様、イグリデュールUW160の圧縮強度は温度が上がるに従って低下します。 ベアリング内部の温度も、ベアリング磨耗に影響します。 温度が高くなるほど摩耗量は増加します。+70℃以上の高温環境では、ベアリングの抜け止めをする必要があります。

図04: 摩擦係数とスピード、 p = 0,75 MPa
 
X = スライド速度 [m/s]
Y = 摩擦係数μ

図05: 摩擦係数と荷重、 v = 0,01 m/s
 
X = 荷重 [MPa]
Y = 摩擦係数μ

摩擦と磨耗

摩擦係数および磨耗は使用時の条件に応じて変化します。 表面速度および軸面粗度の摩擦係数に対する影響は僅かですが、ラジアル荷重の増加により、特に7.5 Mpaまでは、摩擦係数は著しく減少します。

イグリデュールUW160	無潤滑	グリス	油脂	水
摩擦係数　µ	0,17 - 0,31	0,08	0,03	0,03

表04：スチールに対する摩擦係数（Ra = 1 μm、50 HRC）

図06: 磨耗、さまざまな軸材質を使用、回転（ p = 1 MPa, v = 0,3 m/s）
 
X = 軸材質
Y = 磨耗 [μm/km]
 
A = アルミ、硬質アルマイト処理
B = 快削鋼
C = S50C
D = S50C、 クロム硬化
E = STKM12A
F = SUS304
G = SUS440B

軸材質

図06は、イグリデュールUW160すべり軸受を無潤滑運転でさまざまな材質の軸で試験した結果です。 ラジアル方向の面圧が1 Mpaで速度0.3 m/sの時、イグリデュールUW160はV2A（SUS３０４）製軸との組合せ以外にも、多くの軸材との組せで優れた摩耗特性を発揮することが分かります。ただし、無潤滑下では、より適合性の高いイグリデュール材質も存在します。 また無潤滑下における他の多くのイグリデュール材質と同様に、条件が同一である限り、回転時における摩耗量は揺動時より大きなものになります（図07）。

媒体	耐性
アルコール	+
炭化水素	+
グリス、油脂、無添加	+
燃料	＋ ～ 0
希釈酸	+
強酸	+
希釈アルカリ	+
強アルカリ	+

+ 耐性あり      0 制限付きで耐性あり      - 耐性なし
すべての記載値は室温時 [+20 °C]
表05：耐薬品性

電気的特性

比容積抵抗	> 1012 Ωcm
比表面抵抗	> 1012 Ω

イグリデュールUW160製すべり軸受は電気絶縁性があります。

耐薬品性

イグリデュールUW160 すべり軸受は、薬品に対する非常に優れた耐性があります。 イグリデュールUW160はアルカリや潤滑剤に対して耐性を持ち、ほとんどの有機酸および無機酸の影響を受けません。

放射線

イグリデュールUV160 すべり軸受は、強度 3 x 102 Gy までの放射線に対する耐性があります。

耐紫外線性

イグリデュールUW160 すべり軸受は、紫外線に対して制限付きで耐性があります。

真空

真空での使用では、吸収した湿度によってガスが発生します。 このため脱湿したイグリデュールUW160のみが、真空環境に適しています。

最大吸湿率
+23 °C/50 %時の相対湿度	0,1 水-%
最大吸水率	0,1 水-%

表06：吸湿率

吸湿率

イグリデュールUW160 すべり軸受の吸湿率は、標準大気下で約0.1%です。 飽和限界も同様に僅か0.1%です。

径 d1 [mm]	軸 h9 [mm]	イグリデュールUW160 E10 [mm]	ハウジング H7 [mm]
3まで	0 - 0,025	+0,014 +0,054	0 +0,010
> 3 bis 6	0 - 0,030	+0,020 +0,068	0 +0,012
> 6 bis 10	0 - 0,036	+0,025 +0,083	0 +0,015
> 10 bis 18	0 - 0,043	+0,032 +0,102	0 +0,018
> 18 bis 30	0 - 0,052	+0,040 +0,124	0 +0,021
> 30 bis 50	0 - 0,062	+0,050 +0,150	0 +0,025
> 50 bis 80	0 - 0,074	+0,060 +0,180	0 +0,030
> 80 bis 120	0 - 0,087	+0,072 +0,212	0 +0,035
> 120 bis 180	0 - 0,100	+0,085 +0,245	0 +0,040

表07：圧入後の公差（ISO 3547-1による）

組込み公差

イグリデュールUW160製すべり軸受は、公差hで設計した軸（最小でもh9を推奨）に対応する標準ベアリングです。 ベアリングは H7公差で圧入するよう設計されています。 公称寸法での組込み後、軸受内径は公差E10に自動的に調節されます。