イグリデュールA200 - 材質データ

図02: 最大推奨面圧 - 温度による変化 (18 MPa 、+20 °C)

X = 温度 [°C]
Y = 荷重 [MPa]

図03: 変形 - 　荷重と温度

X = 荷重 [MPa]
Y = 変形 [%]

機械的特性

最大推奨面圧は、材質の機械的特性を示します。 したがって、摩擦特性への言及はできません。 温度が上昇すると、イグリデュールA200製スライドベアリングの圧縮強度は低下します。 図02は、この関係を明確にしました。
 
図03は、ラジアル荷重下での、イグリデュールA200の弾性変形です。 最大推奨面圧18 Mpaでは、変形率は2 %未満です。 塑性変形は、このラジアル荷重まで負荷を加えても、ほとんど発生しません。 この結果は、作用時間によって異なります。

m/s	回転	揺動	直線
連続	0,8	0,6	2
短時間	1,5	1,1	3

表02: 最大スライド速度

許容滑り速度

イグリデュールA200は、低速運転用に開発した製品です。 無潤滑の連続運転では、回転で0.8 m/s 、リニアで 2 m/sまで許容されます。ここで示すのは、摩擦熱によって温度が長期許容温度に達成する、その限界値です。 実際には、さまざまな変動要因があるため、この限界値に常に達するわけではありません。

イグリデュール A200	使用温度
下限	- 40 °C
上限、長期	+ 80 °C
上限、短期	+ 170 °C
アキシアル追加保護が必要になる温度（これを超えた場合）	+ 50 °C

表03: 温度限界 - イグリデュールA200

温度

短期許容最高温度は+170°Cです。 温度が上昇すると、イグリデュールA200製スライドベアリングの圧縮強度は低下します。 図02では、その関係を明確にしました。ベアリング内の熱も、ベアリング磨耗に影響を与えます。 +50℃以上の高温環境では、ベアリングの抜け止めをする必要があります。
 

図04: 摩擦係数とスピード、 p = 0,75 MPa

X = スライド速度 [m/s]
Y = 摩擦係数μ

図05: 摩擦係数と荷重、 v = 0,01 m/s

X = 荷重 [MPa]
Y = 摩擦係数μ

摩擦と磨耗

耐摩耗性と同様に、摩擦係数も荷重に伴って変化します（図04、05）。

イグリデュール A200	無潤滑	グリス	油脂	水
摩擦係数　µ	0,1 - 0,4	0,09	0,04	0,04

表04: 摩擦係数 - イグリデュールA200対スチール鋼製軸(Ra = 1 μm, 50 HRC)

図06: 磨耗、さまざまな軸材質を使用、回転（ p = 1 MPa, v = 0,3 m/s）
 
X = 軸材質
Y = 磨耗 [μm/km]
 
A = アルミ、硬質アルマイト処理
B = 快削鋼
C = S50C
D = S50C、 クロム硬化
E = STKM12A
F = SUS304
G = SUS440B

軸材質

図06と07は、様々な軸材質とイグリデュールA200軸受の試験結果を示しています。 荷重p = 2MPa未満の場合、イグリデュールA200軸受の摩耗は、揺動時のほうが同程度の荷重の回転時より大きくなります。 STKM12A製軸は例外です。

媒体	耐性
アルコール	＋ ～ 0
炭化水素	+
グリス、油脂、無添加	+
燃料	+
希釈酸	0 ～ －
強酸	-
希釈アルカリ	+
強アルカリ	0

+ 耐性あり      0 制限付きで耐性あり      - 耐性なし
すべての記載値は室温時 [+20 °C]
表05：イグリデュールA200の耐薬品性

電気的特性

比容積抵抗	> 1013 Ωcm
表面抵抗	> 1012 Ω

耐薬品性

イグリデュールA200製スライドベアリングは、洗浄剤、グリス、油脂、アルカリおよび弱酸に対し、優れた耐性を持ちます。

放射線

イグリデュールA200 すべり軸受は、強度 1 x 10⁴ Gy までの放射線に対する耐性があります。 これより高い照射はベアリング材質を侵食し、重要な機械的特性が失われる恐れがあります。
 

耐紫外線性

イグリデュールA200製スライドベアリングは紫外線耐性があります。

真空

イグリデュールA200製スライドベアリングは真空では、湿度吸収が非常に大きいため条件付のみで使用可能です。

電気的特性

イグリデュールA200製スライドベアリングは電気的に絶縁です。

最大吸湿率
+23 °C/50 %時の相対湿度	1,5 水-%
最大吸水率	7,6 水-%

表06：吸湿率

図10：吸湿率
 
X = 湿度吸収 [重量%]
Y = 内径Øの縮小 [%]

イグリデュールA200製スライドベアリングの湿度吸収は、標準大気でおよそ1.5%です。 水中での飽和限界はおよそ7.6 %。 これは対応する使用条件により、留意する必要があります。

径 d1 [mm]	軸 h9 [mm]	イグリデュールA200 D11 [mm]	ハウジングH7 [mm]
3まで	0 - 0,025	+0,020 +0,080	0 +0,010
> 3 bis 6	0 - 0,030	+0,030 +0,105	0 +0,012
> 6 bis 10	0 - 0,036	+0,040 +0,130	0 +0,015
> 10 bis 18	0 - 0,043	+0,050 +0,160	0 +0,018
> 18 bis 30	0 - 0,052	+0,065 +0,195	0 +0,021
> 30 ～50	0 - 0,062	+0,080 +0,240	0 +0,025

表07：圧入後の公差（ISO 3547-1による）

組込み公差

イグリデュールA200製すべり軸受は、h公差の軸への標準品です (最低h9を推奨)。
ベアリングは H7公差で圧入するよう設計されています。 公称寸法で受け穴に組込み後、ベアリング内径はD11公差に自然に調整されます。 特定の寸法については、公差は肉厚によって異なります（製品概要表をご覧下さい）。