イグスのエナジーチェーンの摺動特性を高める3Dプリント製アダプタークリップ

• 要望：エナジーチェーン向けアダプタークリップ
• 製造方法：レーザ焼結法
• 要件：耐摩耗性、長寿命、優れた摺動特性
• 材質：イグリデュールI6
• 産業：厳しい環境条件下でのエナジーチェーン
• メリット：非常に迅速な生産、金型不要でカスタム形状に対応、最低発注数量なし、大幅なコスト削減、簡単発注

用途の概要：
新開発のアダプタークリップは、スライドシューの高さを緩和することでエナジーチェーンの寿命を延ばします。このアダプター部品の開発に、カスタム品を迅速かつ容易に製造できるイグス3Dプリントサービスが採用されました。試作品を使って様々な製品仕様を迅速に試験できたため、従来の製造方法に比べて開発期間短縮とコスト削減を実現しました。最終的に、高機能プラスチックのイグリデュールI6を使用するレーザー焼結法が採用されました。この材質は耐摩耗性と摺動特性に優れているため、摩耗の多い環境下でもエナジーチェーンの動作に利点をもたらします。

スライドシューとスライドレール間の高さの補正に使用するアダプタークリップ

問題点

イグスのエナジーチェーンの寿命を延ばすために、後からモジュールに組込む部品であるスライドシューが開発されました。 しかしこの構造では、スライドシューとスライドレールの間に高さの違いが生じてしまいます。 この高さの違いを補正するために、アダプタークリップが必要となりました。チェーンは主に高摩耗環境で使用されるため、優れた耐摩耗性と摺動特性を実現できれば長い耐用年数が可能になります。 開発段階で、製品特性や機能の試験に使う部品は数個のため、高コストで複雑な射出成形金型の事前製造は不要です。

解決方法

イグスの3Dプリントサービスを利用して、カスタマイズしたアダプタークリップを迅速かつ低コストで開発できました。 短期間で少量生産することで、様々な製品仕様を試験・改良し、開発の初期段階で現実的なサンプルの入手が可能となりました。 さらに、射出成形金型を事前に製造することなく、機能的動作の情報を得られました。 開発期間の短縮は、開発コストの削減にもつながりました。 イグリデュールI6を用いてカスタマイズすることで、アダプターは過酷な環境で同時発生するすべての機械的要件を満たすことができました。

金型なしで製造 - 低コスト、迅速、省資源

積層造形法の大きな利点は、金型を使わずに製造できることです。 フライス加工や射出成形などの従来の製造方法とは異なり、追加の金型は必要ありません。 そのため少量生産が可能であり、開発段階では非常に有益です。 またこのプロセスでは、3Dプリント後に余ったレーザー焼結粉末を再利用できるため、廃棄物が発生しません。低コストに加えて、今回のように3Dプリントや材質に関して調整・改良しやすいことも利点です。 1つのチェーンに必要なアダプタークリップは左右1つずつのため、1回の注文での全体の数量は少なくて済みます。 開発工数と開発費を抑えることができます。 また、使用感や外観の評価も短時間で行うことができました。 3Dプリントの簡単な発注方法も、カスタムパーツを依頼する際の決め手となりました。

アダプタークリップがスライドシューとスライドレール間の高さを補正することで、エナジーチェーンがスムーズに走行し寿命が延びます。

イグリデュールI6の優れた摺動特性

開発段階で、レーザー焼結用に開発された材質のイグリデュールI6が選ばれました。この高機能ポリマーで製造された部品は、耐摩耗性が非常に高く、フライス加工部品よりも長い耐用年数を有しています。 初期の試験で、そうした特性が確認されました。 最初に摩擦を確認後、アダプタークリップを取付けると、それ以降は摩耗が検出されませんでした。配合された固体潤滑剤の効果で優れた摺動特性を保ち、スライドシューとスライドレール間で生じる高摩擦からチェーンを守ります。 プロダクトマネージャーのクリストフ・コッホは、イグリデュールI6の3Dプリント製アダプタークリップの品質は、射出成形品に匹敵すると言います。
エナジーチェーン内で目立たないように、ご要望に応じてI6を黒く着色したり、黒のレーザー焼結粉であるイグリデュールI8-ESDからアダプターを製造することも可能です。 

イグリデュールI6製アダプタークリップは、耐摩耗性と摺動特性に優れています。