問題点
ハイデルベルグ・インストルメンツ社のボリュームパターンジェネレーター(VPG)シリーズは、大量生産用に使用しています。紫外線レーザーを使って、非常に精密かつ素早くフォトマスクを製造します。フォトマスクとは、マイクロチップ、センサー、LEDおよびMEMS(微小電気機械システム)製造のテンプレートになる部品です。VPGシリーズは、ウェハ上に直接、微細構造を書き込む際に使用します。
超高精度であることに加え、24時間365日の連続稼働、および秒単位で動作する非常に短いサイクルタイムも、このシリーズの必須要件の一部となっています。「そのため、エアクッション方式XYテーブル等のようなコア部品をたくさん社内で開発しているのです」(電気設計責任者のミヒャエル・カッペル氏)クリーンルーム条件下で露光を行っているため、駆動部品は、その工程に適したものを選択する必要があります。XYテーブルにのエネルギー、信号および媒体を供給する際も、同様です。微細な粉塵でさえも、露光の品質を損ないます。もう一つの要件も、同様に重要です。「エネルギー供給が僅かでも不安定になると、露光の精度が低下してしまうので、十分に注意する必要があります」(カッペル氏)
解決方法
この開発プロジェクト中に、イグスはe-skin flatを発表しました。以前使用していたチェーンを使わないで、エネルギー供給を行う新しいコンセプトです。ケーブルとホースは平らな形状(さや)でガイドされており、さやは、必要に応じて個別に開閉します。このコンパクトなシステムは、非常に小さな曲げ半径を可能にし、チェーンが互いに接触することがないため、動作中は優れた耐摩耗性を発揮します。フラウンホーファーIPAの試験で確認されているように、クリーンルーム(多層階を含む)での使用が可能です。この新製品は、ハイデルベルグ社にとってベストタイミングで発売されました。同社の設計者は、この新しいエネルギー供給システムを使って、長期試験用のデモを構築しました。その間、イグスの試験施設では、ISO 1 に基づいて1億2000万サイクルの試験を完了しました。ケーブルはISOの試験に合格し、このユーザーを満足させることのできるレベルに達したのです。イグスは固定部品の最終調整作業を行い、小型のVPGおよびULTRAシリーズに、この新しいコンセプトのエネルギー供給を設定しました。
このソリューションは、現在も、サイクルタイムが約1秒(年間3,100万サイクル以上)という激しい作業でも、その優れた性能を発揮しています。ハイデルベルグ・インストルメンツ社は、耐摩耗性に優れ、TPE外被を備えた高品質なイグス製チェーンフレックスケーブルを使用しています。
クリーンルーム用のe-skin flat