使用時の高負荷に耐える交換用ギア

• 要望：空港用消防車のルーフに取り付けられた放水銃のサーボモーターを修理するための弾性のある特殊ギア
• 製造方法：レーザー焼結法
• 要件：優れた費用対効果、高い弾性
• 材質：イグリデュールi3
• 産業：作業車
• メリット：ギアは高負荷に対応し、追加の車両の修理にも使用されました。これにより、お客様はサーボモーター全体を交換するようなコストのかかる作業が不要になりました。

フランクフルト空港では、フラポート社の消防隊が火災時の安全確保に備えています。同社の空港用消防車にはルーフ上に放水銃が設置されており、その放水銃のノズルの角度を変えるためにサーボモーターを使用しています。水を噴射しながら角度も変えるため、サーボモーターにかかる負荷は相当なものです。10年間使用した後、放水銃内のギアが摩耗してきたので、ルーフに設置した放水銃の修理が必要になりました。

空港用消防車のルーフに取り付けられた放水銃を修理するために、フラポート社の消防隊は、高負荷に耐えられるカスタムギアを必要としていました。

問題点

消防車のルーフに取り付けられた放水銃のサーボモーターでは、機械加工されたポリマー製のギアが使われていましたが、10年以上の使用で摩耗してしまい、交換が必要になりました。メーカーはサーボモーター全体の交換を推奨しましたが、これは非常にコストがかかります。 通常の製造方法での特殊ギア製造は経済的ではなく、また複雑な形状のために製造できないこともよくあります。 

解決方法

フラポート社の消防隊の保守技術者は、SLS用ポリマーのイグリデュールI3に理想的なソリューションを見出しました。製造方法としての3Dプリントは、個別の特殊部品をコスト効率よく、迅速に製造することができます。 機械の厳しい用途のために特別に開発されたイグリデュールポリマーには、固体潤滑剤が配合されているため、耐久性が高く、メンテナンスの手間や費用を削減することができます。 イグリデュール材質で3Dプリントされたギアは要件を満たし、現在は空港内の他の車両にも使用されています。  

このギアは、ルーフに取り付けられた放水銃のサーボモーターに取り付けられています。 このモーターは、ノズルの角度を変えます。

空港用消防車のルーフ上に装備された放水銃は、放水の際の強いストレスに対応しなければなりません。

フランクフルト空港は、ドイツ最大の空港です。  国際的にも、旅客と貨物の輸送においてヨーロッパ有数の空港のひとつです。  およそ450社の約81,000人の従業員を擁するドイツ最大のローカルワークプレイスであり、経済的に重要なライン・マイン地域の他の企業にとっても魅力的な存在です。 航空機、作業車、自家用車が密集しているため、空港の消防隊は常に多くの業務に対処しています。 法律で定められた応答時間を順守するために、消防隊がエプロンのどこへでも3分以内に到着できなければなりません。 空港敷地内にある3つの消防署の人員や技術設備もそれに応じて重要です。
 
空港敷地内には115台以上の消防車両が配備されており、その中には14台の消火車両も含まれています。  ルーフ上に取り付けられた放水銃で、1分間に少なくとも5,300リットルの水を80メートルの距離に散布することができます。 そのため、ノズルの角度を変えて水流の高さを制御するこれらの放水銃のサーボモーターにかかる負荷は、非常に高いものとなっています。  

水を噴射しながら高さを変えるため、ギアにかかる負荷は相当なものです。

空港の消化車両で使用されるイグリデュールI3製の3Dプリントギア

サーボモーターには、堅牢なプラスチック製の特殊ギアが2つ内蔵されています。10年間使用した後、それらのパーツが摩耗し、ルーフに設置した放水銃のメンテナンスが必要になりました。車両メーカーは保守技術者に、サーボモーターを丸ごと交換することを提案しましたが、それにはコストがかかります。それ以外のパーツは完全に機能していたため、設計エンジニアは、サーボモーター全体を交換する代わりに新たなアプローチを試すことにしました。ネットで調べたところ、イグスの3Dプリントで耐久性のあるギアが作れることを知り、耐摩耗性のあるイグリデュールI3プラスチックをテストすることにしたのです。ギアの設計には、無料で利用できるオンラインCADコンフィギュレータを使用します。これにより、3Dプリントギアのテンプレートを素早く簡単に作成することができました。

SLS法による製造は3日以内に完了し、消防隊はすぐに新しいギアのテストを開始することができました。テストの結果、イグリデュールI3製ギアは高負荷にも十分耐えられることがわかりました。そして、保守技術者は、追加の車両用のギアを注文することができました。素材の品質と、迅速なサービスに非常に満足したお客様は、すぐに空港用消防車の空気式ドアを制御する部品のプリントとテストも追加で依頼しました。この3Dプリントパーツも要件を満たしており、現在はフランクフルト空港の消防車で使用されています。

ギアの3Dプリントでは、形状に関する制約はほとんどありません。 当社の3Dプリントサービスでは、1～10,000個のギアを短期間でコスト効率よくプリントすることができます。

なぜイグリデュールI3製の3Dギア？

イグリデュール材質は機械の可動部品の製造用に特化して開発されており、非常に高い耐摩耗性と固体潤滑剤を含んでいることが特徴です。 これらの材質は、射出成形、積層造形、棒材の機械加工による部品の製造に使用されます。 イグリデュールI3は、レーザー焼結法で部品を製造するためのポリマーパウダーとして開発され、高い耐摩耗性と強度を特性としています。イグスの3Dプリント材料の中で、この材質が一番人気となっているのは、決して偶然ではありません。
 
イグリデュールI3はその機械的特性により、平歯車、はすば歯車、その他のギア形状に適しています。 イグリデュールl6は、摺動性を高めるために開発されたポリマーであるため、3Dプリントのウォームホイールにのみ推奨されます。 イグリデュールI3を使用した3Dプリントギアの予測寿命は、入力されたアプリケーションパラメータに応じて、ギアの寿命予測計算ツールでオンラインで迅速かつ簡単に求めることができます。 イグリデュールI3製のギアは、通常のプラスチック製ギアに比べて非常に長い耐用年数を持つことが、当社の試験施設で試験・実証済みです。  
 
歯車の製造方法としての3Dプリントが持つ大きな利点の一つは、歯根形状を柔軟に変更できることです。 歯根部の半径を最適化し、ギアの寿命を向上させることができます。機械的な製造の場合、金型サイズのために、このような最適化は通常不可能です。 最適化された歯根で直接ギアを設計するには、無料のCADコンフィギュレータをお勧めします。