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「現場の使用条件は過酷」

ローラー式エナジーチェーン コンポスト熟成場で使用

高温、激しい汚れ、そして高湿 - コンポスト製造設備を取り囲む環境条件のほんの一部です。
ごみはまず個々にチェックし、設備の稼動中断が発生することを防ぎます。
ローラー式エナジーチェーンは採用されて2年、ここで順調に稼動しています。 設備の稼動寿命は、少なくとも5倍になりました。

コンポスト設備では稼動当初から、コンポスト層の入替えを行うシフト機へのエネルギー供給に、さまざまな仕様と長さのイグス社(独ケルン)ケーブル保護管を使用してきました。 「その時点から、常に改善を重ねています」と話すのは、AVA廃棄物利用アウグスブルグ社の技術者ヴェルナー・クレツィンガー氏(電気技術メンテナンス責任者)。 「設備の仕様条件に基づき、以前は年1度、エネルギー保護管の交換を余儀なくされていました。しかし現在では、エナジーチェーンの技術向上のメリットを受けています。」 ローラー式エネルギー保護管「ロールEチェーンE4/4」はモジュラー式で堅牢な設計。これを採用して以来、AVA社での設備寿命は最低5年に延びました。

枝・草をコンポストに

「廃棄物を生態学的に有意義に利用する」、すなわち「最終残存物のみ焼却する」という視点から、1990年代始め、アウグスブルグ東産業団地に23.5ヘクタールの敷地が確保され、高技術の総合設備が建設されました。 設備は、煤煙浄化および残存物処理設備を備えたごみ発電所、医療施設廃棄物の焼却場、ごみ分類場、コンポスト設備で構成されています。 稼動人員はおよそ240人。

コンポスト設備では生ゴミ、枝草、その他の生分解可能な廃棄物から高質コンポストを生産します。 搬入されたごみはまず分別し、コンポスト用材は熟成場に送られ、ここでコンポスト醸成がされます。 コンポスト層を入替えるシフト機が、新しい層から醸成が進んだものへと移していきます。「シフト機がコンポスト層を入替え、それによって微生物の活動を活発にするのです」と、クレツィンガー氏。 分解段階と腐敗度によって、コンポスト層にはそれぞれの微生物ポピュレーション、代謝、温度、湿度状態が形成されています。 換気、そして夏は特に加湿を行い、数週の間にコンポスト本工程が終了します。

有機酸と高温環境

「庭に埋めた生ゴミがコンポストになるまで、通常少なくとも1年かかります。それをここでは10週間で行うのです」と、クレツィンガー氏。
しかし、コンポスト熟成の環境条件が厳しいことには変わりはありません。 有機廃棄物の分解は、締切ったコンポスト場で行われます。 ここでは熱と蒸気が発生。 室温は 40 °C、湿度はほぼ100%になります。場内は、マスクなしでは作業ができません。

さらに、空気中にはさまざまな物質が漂い、これが設備技術に影響を及ぼします。 コンポスト場内の空気を測定したところ、アンモニアおよび有機酸がかなりの濃度で検出されました。 場内はいたるところに有機物質の粘性膜が形成され、ケーブル保護管にもそれが付着します。 表面の酸性度はおよそpH5。「熟成場ではスチール鋼は使えません。使用できるのは、ステンレス鋼V4A(SUS316Ti相当)のみです」と、同氏は語ります。

これに加えて有機廃棄物には枝や枯れ草なども混ざっているため磨耗が激しく、これがEチェーンに影響を与えます。 「設備はさらに昼夜連続で稼動するため、耐久性への仕様条件が非常に高いのです」と同氏は言います。

Eチェーン、コンポスト熟成場で使用

堅牢なステンレス鋼製レール

 

ローラー式エナジーチェーン、過酷な使用条件にも対応

熟成場は縦135mx横60mで、これがほぼシフト機のストローク長さにあたります。 運転速度は0.1m/s。 エナジーチェーンは縦および横方向に設置。 さらに2台のエナジーチェーンが搬入用に設置され、生ごみを第一層に運び、全体に分散します。 「シフト機は2機あり、それに使うエネルギー供給システムは全部で8台です」と、設備補修メンテナンスを担当する電気技術責任者ヘルベルト・メルク氏は話します。

最高の負荷がかかるのは横方向のエナジーチェーン。シフト機が腐敗プロセスに常に接触しているためです。 縦方向のエナジーチェーンは部分ごとにしか走行しません。
熟成場は全部で10箇所。 長手方向のエネルギー導入にはスライド式エナジーチェーンも使用していますが、それ以外はすべてローラー式エナジーチェーンです。 「稼動開始からすでに2年以上になりますが、まだ磨耗の兆候はありません」とクレツィンガー氏は言います。 「エネルギー保護管は毎月、検査をします。 結果はすべて検査記録として残します。ここでは、まだ磨耗は検知されていません」

Eチェーン、コンポスト熟成場で使用

ケーブル・ホースがきちんと収納されているのがわかる。 セパレータが内部を仕切り、ずれが発生しない。

 

メルク氏は話します。「ローラー式エナジーチェーンにはもうひとつ大きな長所があります。それは、動きを良くするために濡らさなくてもいいことです。 当初、内部に重いケーブルや水・油圧ホースを収納するため、ロールの動きが遮断されるのではないかと思いました。しかし、有機廃棄物による粘性物質中でも最良の動きを見せ、ロールに固着は起きませんでした。」

ローラー式エナジーチェーン以外にもイグス製品は、チェーンフレックスケーブル、そして長ストロークにはガイドチャンネル、さらにセパレータも含め採用されています。 エネルギー設備技術のパートナーとして、SAG社(独ランドフート)がAVA社のサポートを行っています。 同社は補修・改修を担当する中で、とくに熟成場でのエナジーチェーンに信頼を置いています。
「現場経験に基づき、ケーブル・ホース配置を順次、全面的に変更し、ケーブルクランプを理想的な形で設置しました」と話すのは、SAG担当者ヴァルター・アイシュ氏。 「これにより、エネルギー供給ラインの耐用年数を前もって引き上げたのです。」

クレツィンガー氏は言います。「熟成場の設計では、ケーブル・ホース配置の詳細について、あまり考えられていない部分があるようです。 ケーブル・ホース配置は、荷重が均一にかかるよう設定されていなければならないのです。 また、セパレータを十分に使用することも必須です。セパレータのコスト負担は比較的小さいのですが、設備全体の機能に大きく影響します。 エネルギー供給の破損・中断があってはならないのです」

スライドではなくローリング

Eチェーン、コンポスト熟成場で使用

ガイドチャンネル内のローラー式エナジーチェーン。 ローリングしているのがよくわかる。

 

従来のEチェーン設計では、長いストロークでの使用はスライド式でした。 この方式の技術的制約を超えようと、「ロールEチェーン」が開発されたのです。 長ストローク、高速運転、そして高負荷条件で、その強みを発揮します。 「サイドパーツが上下にスライドするのに代わり、ローリングするのです」と話すのはイグスの南独セールス責任者ミヒャエル・オフナーです。 「これにより、駆動力は75%削減されました。また、こうした設備では大きな塵芥粒子によって通常、高い磨耗をきたします。 しかしロールが常に一定に動くので、ロール抵抗、そしてケーブル保護管の磨耗は最小のものとなるのです。 製品寿命は大きく向上します。」

各チェーンリンクには「逃げ溝」があり、これが次のリンクに重なっています。この密な構造が、ストッパーおよびボルトを塵芥から守ります。 ロールをチェーンリンクから離しても、この構造でシーリングしているのです。 それによって、この部分でも塵芥の進入を防ぎます。 耐久性のために潤滑材を使用したステンレス鋼製ベアリングは、ここでさらにシーリングをします。

「現場では今日、ほぼローラー式エナジーチェーンのみを使っています。 ローリングチェーンは熟成場近くの搬入場に置き、当初から過酷な環境条件に慣らします。 そうすることで、短期間に破損が起きることを防ぐのです」とクレツィンガー氏。 「さまざまな使用現場で異なる、エネルギー保護管への条件設定は、イグスで予め行うこともできます」 とオフナーは言います。 修理リスポンスタイムが短いため、AVA社ではできないのです。

長寿命の制御ケーブル

コンポスト場の条件はケーブル保護管だけでなく、エネルギーを送達するケーブル・ホース全体にわたります。 「ケーブルがもろくコークスクリュー現象を起こすと、シフト機の動脈が途絶え、設備全体の運転停止につながります。 それを避けるため、私たちは1999年以来、ケーブルもイグス社製を使っていいます」とクレツィンガー氏は話します。

ここでは、制御ケーブル「チェーンフレックスCF5」(非シールド)を使用。 内皮はすきまに食い込む押し出し成形、そして外皮はPVC製で、高い負荷に耐える構造になっています。 「このケーブルとEチェーンによって、層入替え設備の寿命が延びました」と同氏は話してくれました。

2つのシステムを比較

 

イグス社員が最初の訪問で、ローラー式エナジーチェーンを紹介。 とくに汚れの激しい用途向けに開発されているため、AVA社で使った場合の優位性もすぐにわかってもらえました。 「そしてロールチェーン1台目から現在のモデルまで、開発が留まることはありませんでした」とオフナー。 「ロール間の間隔を狭め、現場での厳しい使用条件への適合性をさらに高めました」 クライアントの要望が、製品開発に直に反映されたのです。

「そのころ、エネルギー保護管の次期補修にさしかかり、新しい製品を注文しました」と、クレツィンガー氏は当時を振り返ります。 「両システムの比較ができました。ローラー式エナジーチェーンの技術的特長は、ここですぐに明らかになりました。今日では、スライド型エナジーチェーンは1機のみで、これも来年にはローラー式に取り替える予定です。」AVA社のコンポスト施設では、ローラー式エナジーチェーンは少なくとも5年の耐久性を持つと見ています。寿命が5倍に延びたことになるのです。

クレツィンガー氏は、「この場内環境でエネルギー供給システムを正確に管理するのは、時間を大きく拘束される業務なんです」と話してくれました。 「しかし、月1度の測定と年1回の補修検査結果を見ると、イグスの製品に間違いはなかったと確信しています。」 つまり、投資は実を結んだということになります。

執筆: ミヒャエル・オフナー(独ケルン・イグス社、南独セールス責任者)

イグス、独AVA廃棄物利用アウグスブルグ社メンテナンス・電気技術責任者ヴェルナークレツィンガー氏に取材

 
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