必ずしも銅である必要はない

MS Spaichingen GmbHは、自動車産業向けのさまざまな事業分野で活動しています。溶接技術部門は、プラスチック部品を接合するための個別の超音波溶接システムの構築を専門としています。しかし、超音波溶接にも限界があります。例えば、金属とプラスチックを接合する場合、代替案として加熱接触リベッティングが使用されます。MSスパヒンゲンが開発したこのプロセスでは、材料に温度だけが加えられ、隙間のないリベット接合部が作られる。この工程では、リベット接合点の温度測定も行われる。従って、MSスパヒンゲンのシステムで使用される全てのリベッティング・ダイには、温度を測定する熱電対が装備されている。
当初、エネルギーと信号の供給には加熱メーカーのケーブルが使用されていた。しかし、約100,000回のダブルストローク（1年間のシステム稼動時間に相当）の後、ケーブルが断線し、サイクルのたびに上下に動くようになった。
特殊な素材を使用しなければならなかったため、代替ケーブルを探すのは容易ではなかった。このプロセスでは、ケーブルに通常の銅導体ではなく、熱電対と同じ合金を使用する必要がある。つまり、ニッケル・クロム・ニッケルの化合物のような合金でできたケーブルが、しかも大量に必要なのだ。 柔軟でダイナミックなケーブルも必要だった。
イグス® の開発者はまず、比較的硬くて脆い合金をワイヤーに加工する方法を探し、下準備をする必要があった。センサー信号に加えて、ケーブルはセンサーヘッドにエネルギーを伝達する必要がありました。銅線と熱電対ケーブルの組み合わせを選択し、比較的柔らかい銅線を熱合金の硬いコアと組み合わせることで、動的ストレス下でも長寿命を実現する必要がありました。

これらの仕様に基づき、イグス® はまず熱電対のみのフレキシブルケーブルを開発しました。これは現在、chainflex® CFTHERMO.K.001としてプログラムに掲載されているほか、3本の銅線と熱電対を備えたケーブル（CFTHERMO.K.002）も開発しました。K.002 タイプのケーブルは、イグス® と MS Spaichingen でテストされ、30 万回のダブルストロークを経て MS 設計者の承認を得ました。CF Thermo-cableは現在数年間使用されており、その経験はすべて好意的に受け止められている。MS Spaichingen の溶接技術部門でエレクトロニクス開発を担当する Joachim Wein 氏は次のように語っています："私たちは、エナジーチェーンの有無にかかわらずケーブルを使用していますが、一度も故障したことはありません。"
igus® は CFTHERMO プログラムを拡張し、より高温の測定などに使用する合金を追加した。 さらに、"readycable®" 、すなわち熱電対用の既製ケーブルも昨年から販売している。コネクターはケーブルと同じ素材で作られています。イグス® が最初のchainflex® Thermo-cableで実施した動的試験は現在も継続中です。2011年1月に開始され、現在では1億回以上のダブルストロークに達していますが、抵抗測定ではまだ異常は見られません。一方、イグス® は、このようなケーブルの他の用途にも出くわしました。社内でも、より正確には射出成形工場でも、数百台の射出成形機でプレーンベアリング、エネルギーチェーン、その他のイグス® 製品が製造されています。これらの機械では、プロセスの温度も監視する必要があり、この作業は熱電対によって行われます。しかし、熱電対の仕様を備え、信頼性も非常に高いムービングケーブルは、他の分野でも使用されるようになってきています。