流体動圧および流体静圧すべり軸受とは？

流体動圧すべり軸受の機能

流体動圧すべり軸受は、ベアリングと軸の間にあるすき間が、最小となっているベアリングの一種です。その隙間は、潤滑剤で埋められています。静止状態の時、軸はすべり軸受上にあります。

軸が回転し始めると、潤滑剤は、ベアリングと軸の間にあるくびれに引き込まれ、回転速度が上がるにつれて、潤滑剤の圧力が高くなります。これが、軸の下にいわゆる潤滑ウェッジを形成し、軸を持ち上げます。その結果、すべり軸受と軸は、潤滑膜によって分離され、接触がなくなります。

流体動圧すべり軸受の利点

流体潤滑により、摩耗のない状態での連続運転が可能
ベアリングに大きな荷重がかかる場合や、直径が大きいベアリング、高速回転するベアリングに最適
油膜による減衰効果
簡単な取り付け

流体動圧すべり軸受の使用分野

流体動圧すべり軸受は、自動車産業において、サーマルマネジメントで使用されています。また、湿度の高い環境でも、性能を適切に発揮できるため、船舶や潜水艦のタービンにも広く使用されています。その他にも、エネルギー生成のうち、特に風力タービンや水力発電所でも重要な役割を果たしています。さらに、流体動圧すべり軸受は、大型の工作機械やポンプ等の産業機械にも使用されています。ベアリングの低摩擦で高荷重作業を行える能力は、こうした作業内容に理想的であると言えます。

流体静圧すべり軸受の仕組み

流体静圧すべり軸受は、ポンプを使用して、軸とベアリングの間に潤滑剤を送り込むタイプのベアリングです。流体動圧すべり軸受とは対照的に、このタイプのベアリングは、永久的に完全潤滑されます。

流体静圧すべり軸受は、軸が中心を通る必要がある場合に使用されます。しかし、オイル供給や油圧が安全上のリスクをもたらすことが多いため、一般的には流体動圧すべり軸受の方が好まれます。

流体動圧すべり軸受の利点

永続的に油膜が形成されるため、始動時や運転停止時の摺動抵抗がない
ベアリング部の摩耗が少ない
低摩擦力

流体静圧すべり軸受の使用分野

流体静圧すべり軸受は、流体動圧すべり軸受と同じような分野で採用されています。しかし、回転精度が高いため、高精度が求められる分野でよく使用されます。例えば、測定器や工作機械などが挙げられます。流体動圧すべり軸受と同様に、流体静圧すべり軸受も発電所で使用されます。ここでは特に、タービンや発電機の一部を構成していることが多いです。