全自動コーヒーマシン向け3Dプリント - カップトレイ自動調整機構の長寿命化

• 要望：全自動コーヒーマシンのカップトレイ自動調整機構用の部品
• 製造方法：レーザ焼結法
• 要件：食品規格準拠、強度、安定性、優れた操作性、寸法精度
• 材質：イグリデュールI6
• 産業：自動販売機
• メリット：高い耐摩耗性、堅牢、長寿命、EU10/2011の食品規格に準拠した食品適合性

用途の概要：
これまで全自動コーヒーマシンのカップトレイは、カップサイズに合わせて手作業で調整していました。機械工学の教育機関、Maschinenbauschule Ansbachのプロジェクトチームは、トレイの調整を全自動化するために、センサーで高さを調整できるモータ駆動の可動式カップトレイを開発しました。高さ調整機構には、モーター、3Dプリント製の軸端サポート、3Dプリント製の送りねじが使用されています。高機能ポリマーのイグリデュールI6を使用した3Dプリント部品は、優れた動作特性、安定性、耐用年数を備えています。また、トライボ特性が最適化されたこのプラスチックは、EU 10/2011に準拠した食品適合性を有しています。
 

スピンドルと軸端サポートで構成された、カップトレイの高さ調整機構

問題点

これまでは、全自動コーヒーマシンのカップトレイの高さをカップサイズに合わせて手作業で調整していたため、自動化が求められていました。アンスバッハにある機械工学学校のチームは、センサによる高さ調整のためにモータ駆動の機構を開発しました。 しかし、この「軸端サポート-スピンドル」というコンセプトに適した材料を見つける必要がありました。 このコンセプトには、軸端サポートとスピンドル間の優れた動作特性と、コーヒーマシン内部の寸法に準拠した信頼性の高い寸法精度が求められました。 同時に、食品との接触やカップの全重量に適した材質でなければなりませんでした。

解決方法

プロジェクトチームは、ケルンのイグスに最適なパートナーを見つけました。 積層造形法の責任者であるトム・クラウスと協力して、まず3Dプリントで機械的コンセプトのプロトタイプを作ることに成功しました。材質には、レーザー焼結用に開発された高機能ポリマーのイグリデュールI6が使用されました。チームが採用を決めた主な理由は、その高い安定性、寸法精度、動作特性です。 コンセプトの修正・改良を経て、全部品を3Dプリントサービスで製造することになりました。 前述の特性に加えて、耐摩耗性の高さ、詳細度、EU10/2011に準拠した食品適合性なども評価されました。また、レーザー焼結は金型が不要で、最低発注数量なく効率的に製造できることも利点でした。

カップトレイ自動調整機構の仕組み

全自動コーヒーマシンとは、通常、コーヒーを入れる工程を完全に自動化したものを指します。 ただこれまでは、カップトレイの高さをカップサイズに合わせる調整は手作業で行っていました。 全自動コーヒーマシンを呼び名のとおり全自動とするため、機械工学の学校Ansbachのプロジェクトチームが便利な自動カップトレイ調整機構を開発しました。 これは、センサが必要な高さ調整を認識し、アームに取付けられたモータ駆動機構を作動させるものです。この機構には3Dプリント製スピンドルと軸端サポートが備わっています。 センサは、カップ上端から飲料供給部の下端までの距離を測定し、カップは透明でも不透明でも認識します。ソフトウェアが作動して、測定した距離に達するまでモータを制御します。

自動調整可能なカップトレイを備えた全自動コーヒーマシン正面図

イグリデュールI6 - 食品規格に準拠した高機能ポリマー

このシステムには、トライボ特性が最適化された耐摩耗性ポリマーのイグリデュールI6が使用されています。 プロジェクトチームがこの材質を選んだ決め手の1つは、スピンドルと軸端サポート間の走行特性でした。特に自動販売機では、イグスの材質が非常に重要な役割を果たします。 固体潤滑剤を含んでいるため、給油の必要がないのです。またEU10/2011に準拠しているため、衛生的な運転と食品との接触が可能です。この材質は、レーザー焼結用に開発されたもので、従来の樹脂よりも大幅に長い耐用年数を実現します。
 
 

レーザー焼結材質イグリデュールI6はショップで入手可能です。優れた摺動特性と耐摩耗性を有する材質です。