イグリデュールA500 - 材質データ

図02: 最大推奨面圧 - 温度による変化 (120 MPa 、+20 °C)

X = 温度 [°C]
Y = 荷重 [MPa]

図03: 変形 - 　荷重と温度

X = 荷重 [MPa]
Y = 変形 [%]

機械的特性

最大推奨面圧は、材質の機械的特性を示します。 したがって、摩擦特性への言及はできません。 温度が上昇すると、イグリデュールA500製スライドベアリングの圧縮強度は低下します。 図02は、この関係を明確にしました。
 
図02は、温度によるベアリングの最大推奨面圧を示しました。 高い圧縮耐性と同時に柔軟性を備えることが、振動または局部荷重時に大きな強みを見せます。 スライドベアリングの磨耗は荷重が10から20MPaで非常に大きく増加するので、これを超える場合には、使用について正確に検証する必要があります。

最大滑り速度

m/s	回転	揺動	直線
連続	0,6	0,4	1
短時間	1	0,7	2

表02: 最大スライド速度

許容滑り速度

イグリデュールA500は温度耐性が高いので、滑り速度も高いものを許容します。いずれにしても、回転数が高くなると摩擦係数を引き上げ、ベアリング温度を上昇させます。 試験結果では、イグリデュールA製スライドベアリング500の磨耗耐性が、揺動時により優れていることを示しています。許容PV値も、揺動の方でより高くなっています。

イグリデュール A500	使用温度
下限	- 100 °C
上限、長期	+ 250 °C
上限、短期	+ 300 °C
アキシアル追加保護が必要になる温度（これを超えた場合）	+ 130 °C

表03: 温度限界 - イグリデュールA500

温度

短期許容最高使用温度は+300°Cです。 温度が上昇すると、イグリデュールA500製スライドベアリングの圧縮強度は低下します。 図02では、その関係を明確にしました。ベアリング内の熱も、ベアリング磨耗に影響を与えます。

図04: 摩擦係数とスピード、 p = 0,75 MPa

X = スライド速度 [m/s]
Y = 摩擦係数μ

図05: 摩擦係数と荷重、 v = 0,01 m/s

X = 荷重 [MPa]
Y = 摩擦係数μ

摩擦と磨耗

摩擦係数は、すべり軸受にかかる荷重によって変わります（図04、05）。

イグリデュール A500	無潤滑	グリス	油脂	水
摩擦係数　µ	0,26 - 0,41	0,09	0,04	0,04

表04: 摩擦係数 - イグリデュールA500対スチール鋼製軸(Ra = 1 μm, 50 HRC)

図06: 磨耗、さまざまな軸材質を使用、回転（ p = 1 MPa, v = 0.3 m/s）
 
X = 軸材質
Y = 磨耗 [μm/km]
 
A = アルミ、硬質アルマイト処理
B = 快削鋼
C = S50C
D = S50C、クロム硬化
E = STKM12A
F = SUS304
G = SUS440B

軸材質

図06は、さまざまな軸材質でイグリデュールA500を使用して行った実験の抜粋です。 回転使用では、「イグリデュールA500と硬質クロムめっき軸」の組合わせが他を抜いています。 この組合せでは面圧がほぼ2.0MPaに至るまで、磨耗が荷重に左右されることがありません。 cf53(S50C)製軸を使用した場合の耐磨耗性は、同じ荷重下では、回転より揺動時で優れた値を見せます。 ご使用予定の軸材質がここにない場合には、どうぞ直接お問い合わせください。

媒体	耐性
アルコール	+
炭化水素	+
グリス、油脂、無添加	+
燃料	+
希釈酸	+
強酸	+
希釈アルカリ	+
強アルカリ	+

+ 耐性あり      0 制限付きで耐性あり      - 耐性なし
すべての記載値は室温時 [+20 °C]
表05：イグリデュールA500の耐薬品性

電気的特性

比容積抵抗	> 1014 Ωcm
表面抵抗	> 1013 Ω

耐薬品性

イグリデュールA500製すべり軸受は、洗浄剤、グリス、油脂、アルカリおよび酸に対して抜群の耐性を持ちます。
 

放射線

イグリデュールA500製スライドベアリングは、イグリデュール製品中で放射線耐性が最高レベルです。 このスライドベアリングは、放射線強度 2 x 10⁵ Gyまでの耐性があります。 これより高い照射はベアリング材質を侵食し、重要な機械的特性が失われる恐れがあります。

耐紫外線性

イグリデュールA500は、耐紫外線性に優れています。

真空

真空では、イグリデュールA500は、制限付でのみ使用可能です。

電気的特性

イグリデュールA500製スライドベアリングは電気的に絶縁です。

最大吸湿率
+23 °C/50 %時の相対湿度	0,3 水-%
最大吸水率	0,5 水-%

表06: 湿度吸収 - イグリデュールA500

図10：吸湿率
 
X = 湿度吸収 [重量%]
Y = 内径Øの縮小 [%]

吸湿率

イグリデュールA500製スライドベアリングの湿度吸収率は、水中飽和で0.5%です。

径 d1 [mm]	軸 h9 [mm]	イグリデュールA500 F10 [mm]	ハウジングH7 [mm]
3まで	0 - 0,025	+0,006 +0,046	0 +0,010
> 3 bis 6	0 - 0,030	+0,010 +0,058	0 +0,012
> 6 bis 10	0 - 0,036	+0,013 +0,071	0 +0,015
> 10 bis 18	0 - 0,043	+0,016 +0,086	0 +0,018
> 18 bis 30	0 - 0,052	+0,020 +0,104	0 +0,021
> 30 ～50	0 - 0,062	+0,025 +0,125	0 +0,025
> 50 bis 80	0 - 0,074	+0,030 +0,150	0 +0,030

表07：圧入後の公差（ISO 3547-1による）

組込み公差

イグリデュールA500製スライドベアリングは、公差hで設計した軸（最小でもh9を推奨）に対応する標準ベアリングです。 ベアリングは H7公差で圧入するよう設計されています。 公称寸法で受け穴に取付けた後、ベアリング内径は公差F10で自動的に調整されます。