イグリデュールZ - 材質データ

図02: 最大推奨面圧 - 温度による変化 (150 MPa 、+20 °C)

X = 温度 [C°]
Y = 荷重 [MPa]

図03: 変形 - 　荷重と温度

X = 荷重 [MPa]
Y = 変形 [%]

機械的特性

最大推奨面圧は、材質の機械的特性を示します。 したがって、摩擦特性への言及はできません。 温度が上昇すると、イグリデュールZ製スライドベアリングの圧縮強度は低下します。 図2は、この関係を明確にしました。
 
図03は、ラジアル荷重でのイグリデュールZの弾性変形を示しています。 面圧150MPaでは、変形率はおよそ5.5%です。

m/s	回転	揺動	直線
連続	1,5	1,1	5
短時間	3,5	2,5	6

表02: 最大スライド速度

許容滑り速度

イグリデュールZは高温向け材質で、比荷重が非常に高い場合に適しています。 表03で示される最大値は、低荷重時にのみ得られるものです ここに示した速度では、温度はそのときに発生する摩擦によって上昇し、長期許容温度の限界値にまで達する可能性があります。 実際はさまざまな影響の相互作用により、こうした限界値は必ず到達されるものではありません。

イグリデュール Z	使用温度
下限	- 100 °C
上限、長期	+ 250 °C
上限、短期	+ 310 °C
アキシアル追加保護が必要になる温度（これを超えた場合）	+145° C

表03: 温度限界 - イグリデュールZ

温度

短期許容最高温度は+310°Cです。 ベアリング内部の温度も、ベアリング磨耗に影響します。 温度が高くなるほど摩耗量は増加します。+100℃以上の高温環境では、ベアリングの抜け止めをする必要があります。

図04 摩擦係数とスピード、 p = 0,75 MPa
 
X = スライド速度 [m/s]
Y = 摩擦係数μ

図05: 摩擦係数と荷重、 v = 0,01 m/s
 
X = 荷重 [MPa]
Y = 摩耗係数 [μ]

摩擦と磨耗

摩擦係数は、耐摩耗性と同様に、荷重が増えるにつれて大 きく変化します。（図04、05）

イグリデュール Z	無潤滑	グリス	油脂	水
摩擦係数　µ	0,06 - 0,14	0,09	0,04	0,04

表04: 摩擦係数 － イグリデュールZ 対スチール鋼
(Ra = 1 µm, 50 HRC)

図06 : 磨耗 - 軸素材による変化（回転 、面圧p = 1 Mpa、速度v = 0,3 m/s）
 
X = 軸材質
Y = 磨耗 [μm/km]
 
A = アルミ、硬質アルマイト処理
B = 快削鋼
C = S50C
D = S50C、 クロム硬化
E = STKM12A
F = SUS304
G = SUS440B

軸材質

図06は低荷重における摩耗率で、耐摩耗性の高い他のイグリデュール材質と類似しています。 しかし高荷重領域では、イグリデュールZの耐磨耗性が、他イグリデュール材質のそれを超えます。 硬化処理したS50Cの軸を使用する場合、摩耗は45MPaでわずかに15μm/kmです。
低荷重では、イグリデュールZ製スライドベアリングは、揺動での磨耗量が回転時のそれより少ないのが特徴です。 とくに、V2A(SUS304)製軸と硬質クロムめっき軸の使用時に、それが顕著です。

媒体	耐性
アルコール	0
炭化水素	+
グリス、油脂、無添加	+
燃料	+
希釈酸	+
強酸	-
希釈アルカリ	+
強アルカリ	-

+ 耐性あり      0 制限付きで耐性あり      - 耐性なし
すべての記載値は室温時 [+20 °C]
表05：イグリデュールZの耐薬品性

電気的特性

比容積抵抗	> 1011 Ωcm
表面抵抗	> 1011 Ω

耐薬品性

イグリデュールZ製スライドベアリングは、優れた薬品耐性を備えています。 有機溶剤、燃料、油脂およびグリスに対し、この材質は抜群の耐性を持ちます。 この材質は、弱酸の一部にのみ耐性を備えています。

放射線

イグリデュールZ製スライドベアリングは、放射線強度 1 x 10⁵ Gyまでの耐性があります。

耐紫外線性

紫外線(UV)により、イグリデュールZ製スライドベアリングは、摩擦特性(磨耗耐性) がおよそ50%減退します。

真空

真空での使用では、吸収した湿度によってガスが発生します。 したがって、イグリデュールZは、ベアリングが乾燥した状態の時のみ真空で使用可能です。

電気的特性

イグリデュールZ製スライドベアリングは電気的に絶縁です。

最大吸湿率
+23 °C/50 %時の相対湿度	0,3 水-%
最大吸水率	1,1 水-%

表06：吸湿率

図10：吸湿率
 
X = 湿度吸収 [重量%]
Y = 内径Øの縮小 [%]

吸湿率

イグリデュールZ製スライドベアリングの湿度吸収率は、 標準大気内でおよそ0.3%です。 水中での飽和限界はおよそ1,1 %。

径 d1 [mm]	軸 h9 [mm]	イグリデュールZ F10 [mm]	ハウジング H7 [mm]
3まで	0 - 0,025	+0,006 +0,046	0 +0,010
> 3 bis 6	0 - 0,030	+0,010 +0,058	0 +0,012
> 6 bis 10	0 - 0,036	+0,013 +0,071	0 +0,015
> 10 bis 18	0 - 0,043	+0,016 +0,086	0 +0,018
> 18 bis 30	0 - 0,052	+0,020 +0,104	0 +0,021
> 30 bis 50	0 - 0,062	+0,025 +0,125	0 +0,025
> 50 bis 80	0 - 0,074	+0,030 +0,150	0 +0,030
> 80 bis 120	0 - 0,087	+0,036 +0,176	0 +0,035

表07：圧入後の公差（ISO 3547-1による）

組込み公差

イグリデュールZ製すべり軸受は、公差hで設計した軸（最小でもh9を推奨）に対応する標準ベアリングです。 ベアリングは H7公差で圧入するよう設計されています。 公称寸法で受け穴に取付けた後、ベアリング内径は公差F10で自動的に調整されます。 特定の寸法については、公差は肉厚によって異なります（製品概要表をご覧下さい）。