軌道・トンネル清掃用のリニアベアリング

概要

• 要望：ドライリンR アルミニウムシャフトとピローブロック、ドライリンW ダブルレール
• 要件：無潤滑でメンテナンスフリーのコンポーネント。コンパクトでありながら、軌条やトンネルを徹底的に清掃する高い可動範囲。高い剛性と、粉塵および汚れへの耐性も必要とされます。
• 業界：鉄道
• お客様のメリット：無潤滑でメンテナンスフリーのリニアガイドは、格納時はコンパクトでありながら、拡張時は長く伸長し、高い水圧にも対応します。潤滑が不要なため、粉塵および汚れに影響を受けません。

写真1：運搬時のコンパクトさを実現したリヤド地下鉄向けの2Way清掃車両。特殊構造の軌間は、設計で高い要件が求められます。

問題点

ZWEIWEG International社は、道路やレールを走行できる特殊車両を開発・製造しています。このような車両の構造は、通常、トラックをベースにしながら列車の台車を装備しており、清掃、架線、線路建設やトンネル救助などに使用されます。
サウジアラビア・リヤドで3つ目の地下鉄路線を試運転するため、道床とトンネルどちらも清掃するための車両が必要でした。課題は、リヤドの地下鉄の線路は砂利ではなく、コンクリートトラフ内でわずかに高くなっているため、可動式清掃アームを備えた柔軟な清掃ソリューションが必要な点です。
例えば、トンネル清掃用の回転ノズルを備えた大型高圧ユニットを運転室の後ろに設置し、延長・移動を可能にしなければなりません。さらに、車両後部の吸引アームは、道床のコンクリートトラフの奥まで届くよう可動性が求められます。星の形に配置され、それぞれ5つの先端ノズルが備わった8本のアームは、トンネル清掃のため柔軟に動作できることが必要です。
メーカーは、これらすべての可動部品を探すにあたって、無潤滑で動作、可能な限りコンパクト、かつ拡張時には長いリーチを実現可能という点を要件として挙げていました。とりわけ水による清掃中の背圧が高いため、剛性が高く、たわみのないベアリングが必要でした。屋外で大量の粉塵や汚れのある環境でも、ソリューションが影響を受けないことも重要です。

解決方法

道床のコンクリートトラフ内を清掃する後部の吸引アームは、イグスのリニアガイドドライリンR ピローブロックおよびサポート付きアルミニウムシャフトの組み合わせによって動きます（写真2）。ZWEIWEG社は垂直統合のレベルが高いですが、当社の低コストで、無潤滑・メンテナンスフリーのカタログ製品が採用されました。センサーが道床をスキャンし障害物を検出すると、吸引アームを動かすため、リニア駆動に制御コマンドが送信されます。
星の形に配置されたトンネル清掃用の8本のアームには、ドライリンWの2つのダブルレールが取り付けられました。それぞれが背中合わせに接続し、一体型の空圧で駆動されます（写真3）。このシステムは、格納時は非常にコンパクトですが、拡張時は長い伸長が可能です。また、高圧洗浄の背圧に耐えられる剛性、耐水性があります。さらに、ベアリングは車両における公差を簡単に補正し、粉塵および汚れに影響を受けません。
このプロジェクトに前述の製品を採用したことで、道床、トンネル、駅の360^o清掃を可能にする2Way清掃車両が実現しました。

写真2：センサー制御の可動式吸引アームが道床の清掃を行います。ドライリンRリニアシステムが、スライド吸引アームをガイドします。ベアリングは、車両構造における公差を簡単に補正します。

写真3：トンネル清掃用の回転ノズルは拡張できます。背中合わせに配置された2つのドライリンW リニアガイドにより、直線運動が可能です。アルミニウムガイドと、プラスチック製スライド部を備えたピローブロックの組み合わせで、外観も優れています。